おしゃべりが好きなあの子は場地圭介を助けたい
3

場地くんや松野くんが私を避けることで守ろうとしていたのに私はそれを裏切った。
そんな次の日私達は場地くんの家で話し合う

「皆さん思うところはあると思いますが!!洗いざらい知っている情報を話していきましょうよ!!」
「なんかテンションおかしくないか」
「...だってなんかテンション無理やり上げないと」

机には芭流覇羅の人の写真や松野くんが独自で調べてくれたことなどが置いてある、

「まず、私の知っている事はあんまりないの、ドラケンくんが稀咲鉄太が怪しいって私に相談したことぐらいかな」
「……あの人、なんでちゃんに言ったんだ?」
「私が東卍に詳しいイメージがあったんじゃないかな?意見が聞きたいって言ってた、あと場地くんのことを気にかけてくれていたみたいだし」
「あいつ、だからってにそんなこと話さなくてもだなあ...」

場地くんは眉間にシワを寄せている

「えーっとじゃあ場地くん!何か知っている事話して、洗いざらい」
「そうだな、俺は稀咲がマイキーに取引していたこと、パーを早く出所させる代わりに隊長にさせてくれと」
「やっぱりそうなんだ」
「そう、だから場地さん一人で芭流覇羅に入ろうとしてたんすよね」
「あぁ、一虎に誘われたときは断ったけどな、俺一人芭流覇羅に寝返ったふりして稀咲を倒すつもりだった...昨日までは、どこかの誰かに邪魔されたが」

そう言って私をじとーっと見てくる

「うっそれはそれとして」
「でももう大丈夫っすよ!俺たちがいますから!」

松野くんが胸を張ってそう言った。

「っていうかやっぱり芭流覇羅に入るのは得策じゃないと思うの」

芭流覇羅の人たちの隊服、明らかに場地くんが死んだときの服装だ、危険だと思うのだけれど

「彼は愛美愛主の時から用意周到に動いてる、場地くんが邪魔してくることも多分わかっているんじゃないのかなって」
「じゃあどうしたらいいんだよ」
「うーん、そもそも戦うことが間違っているのかも」

もがけばもがくほど彼の掌の上なのではないだろうか、稀咲は相当頭が切れる奴だと思う、私たちが考えるよりずっと先を読んで動いているかもしれない。

「あっそういえば集会で稀咲を花垣くんが殴ろうとしたんだよね、なんか恨みでもあったのかな?」
「……いや、あれは意味が分からなかったな、場地さんいなかったらもっとひどい目合ってたぞ」

花垣くんも稀咲を敵だと思う一人なのかなって思ったけど

「はあ〜わかんないなあ、もうみんなで引きこもる?」

私は畳にゴロンと寝ころぶ

「おいコラ、なんにも解決してねえぞ」

場地くんの呆れた声が聞こえる

「とりあえず、ちゃん買い物行こうぜ」
「え買い物?なんの?」

私は体を起こして松野くんを見つめる

「防犯用品」
「ああ、そうかぁ」

納得したように私はポンッと手を打つ

「よし、行くか」


****


ショッピングモール内のホームセンターにて

「はい、これ催涙スプレー、防犯ブザー、スタンガン、警棒」
「……多いよ松野くん」

警棒とか使いこなせる気がしないんだけど、そこに場地くんが

「さすまた、ヘルメット」

と言ってきた、いやいやこんなの持ってる方が不審者じゃん!

「えっ?これでどうやって戦えばいいんですかね?」

私は頭を抱える

「いや、ちゃんは無理しなくて良い、これはもしもの時の自衛だから」

「……なんか物騒だけど、ありがとう」

この人達は本当に私の事を思って行動してくれているんだろうなあって思うと申し訳なくなる、私がもっと稀咲の事を知れたらどうにかできるんじゃないかって……悔しいな。

「ちょっと手洗い行ってくるね」
「おう、ここで待ってるからな」

場地くんの言葉にコクリとうなずきトイレに向かう

「私って本当馬鹿だなあ、何もできない自分が情けない……」

鏡に映った自分の顔を見る、泣きそうな顔をしているなあ、こんなんじゃダメだってわかってるのになあ、私は頬をパンっと叩く、

「あれ?ちゃん?」
「え、ヒナちゃん!?」
「久しぶり!元気だった?」

ヒナちゃんは私に駆け寄ってくる

「うん!まあなんとかね」
「そっか!良かった!最近全然連絡くれないから心配してたんだ!」
「ごめん!ちょっと色々忙しくて」

ヒナちゃんは私が塾に通っていた時優しく接してくれた女の子だ、塾では同じ学校の子がいなくてアウェーだったのに彼女のおかげで短期だったけど楽しかったな...
そういえばその時、頭のいい男の子もヒナちゃんの事を羨望の眼差しで見つめていて、その男の子の未来を見たら大人になったヒナちゃんらしき人に振られてたんだっけ?って思い出に浸っていた

「懐かしいなあ、ヒナちゃんの事好きだった男の子の事覚えてる?」

あの子の片思いが大人になってまで拗らせちゃうのはかわいそうだと思った、老婆心ながらここでヒナちゃんにそれとなく後押しをしよう

「え、誰の事かなあ?」
「ほら、クラスで全国模試一位の子!」
「えっと、稀咲くん?」
「そー稀咲くん!....えっ」
「稀咲鉄太くんの事だよね?模試一位の子なんてその子しかいないよ?」

私は目をぱちくりさせる

「あれ?わたしの勘違いだったかも?」

勘違いな訳あるか!顔色を伺うのに定評のある私だよ?間違いないよ!どういうこと!?確かにどこかで見たことある顔って思ったけど変わりすぎでしょ!?稀咲くん!

「ところでちゃんは今日何買いに来たの?」
「えーっと防犯用品を」

私はチラッとトイレの入り口の方を見て

「誰かを待ってるの?」
「うん、友達が待ってるの、ヒナちゃんは?」
「んふふ、彼氏とデートなの」

ヒナちゃんは嬉しそうに微笑む

「ヒナちゃん彼氏いたんだ!」
「えへへ、すぐそこにいると思うから紹介する!」

そう言って私達はトイレから出ると目の前にいたのは…

「遅ぇぞ、

場地くんと松野くんが花垣くんと一緒にいた、

「あっタケミチくん!待たせてごめんね」

ヒナちゃんは花垣くんの腕を取り

「私の彼氏!」
「え、ヒナちゃんの彼氏って花垣くんなの?」
「あれ?ちゃんタケミチくん知ってるの?っていうかそこのお二人は?」

4人とも頭に?マークが浮かび上がっていた

ちゃんタケミチの彼女と友達だったのかよ、世間狭すぎだろ」
「私も驚いてるよ、えーっとヒナちゃん、この二人が私の友達の松野くんと場地くん」

私は二人を紹介したヒナちゃんはペコリとおじぎをした、

「あぁタケミチの彼女だろ?前に集会来てたし知ってるぜ」

え、ヒナちゃん東卍の集会行ったことあるのか、ヒナちゃん危ないよ?人の事言えないけど、

「そういえば花垣くん、どうして集会で稀咲くんの事殴ろうとしたの?」

私は疑問に思っていたことを尋ねた

「それは……」
「なんか恨みでもあった?」

私は焦って聞くとタケミチくんは

「いやなんというか、あいつはとにかく東卍にいたら絶対だめなんだ…」

濁すように答えた、私の頭は混乱している、

あの塾にいた稀咲くんが不良になって東卍を乗っ取ろうとしている事、
ヒナちゃんの事がきっと今でも好きな事、
ヒナちゃんの彼氏の花垣くんが稀咲くんを殴りそうになった事、

「え、これって繋がるものなのかな…?」
「なにか稀咲について知ってるんすか!?」

花垣くんがいきなり私の肩を掴んできた

「ちょ、ちょっと落ち着いてよ!」
「おい、タケミチ」

場地くんはそんな花垣くんを私から引き離す、

「ねえちょっと皆で一旦お話ししようか?」

ヒナちゃんが提案した



****


「あーおいしいー」

私たちは屋上のフードコートでクレープを食べていた、
こんなことしている場合ではないけど糖分が私の頭を少し落ち着かせてくれた、

「え、ヒナって稀咲の事知ってたのか!?」

花垣くんが驚いていた

「そう、稀咲鉄太くんは塾で一番勉強できる子で....」

場地くんと松野くんと私は二人の話をじーっと聞いていた、ヒナちゃんと稀咲くんの接点、タケミチくんも稀咲くんに会っていた事、そしてヒナちゃんは助けてくれた花垣くんに恋をしたことを話していた、

「俺ら邪魔じゃね?」
「これも情報収集だよ!」
「そうっすよ場地さん、ってかめっちゃいい話だなあ」

私達は黙々とクレープを食べる、稀咲くんがヒナちゃんの事好きだったのは確かだ、きっとその気持ちは変わっていないはず、

「場地くん、他人の心の内の話をばらすのって駄目な事かな?」
「...わかんねえけど、稀咲が何考えてるか知るために必要なんだろ?お前に任す」
「確かにそうだね、よし」
「花垣くん、ヒナちゃん、聞いてほしいんだけど実は稀咲くんはヒナちゃんの事が好きだったの...ううん今でも好きだと思う」

私は確信を持っていた

「それ本当なのか!?じゃあちょっと待てよ、なんで、ヒナを....」

タケミチくんは動揺してヒナちゃんを見る、

「え、気づかなかった、中学からは会ってないし」
「正直に言うと私ぐらいしか気づいてないと思う、顔色伺うのが得意だから…」

特にヒナちゃんみたいな人気者は常に周囲から好意を持たれている子だ、稀咲くんが主張しない限り気づかないと思う。

「稀咲くんはヒナちゃんに好意を持っていて、なのに会わずに不良の道に走り東卍を乗っ取ろうとしている」

私は稀咲くんの行動が理解できなかった、

「まじで、意味わかんねえな、稀咲」

場地くんも呆れ果てていた、

未来視で見た大人になってからフラれる稀咲くんを思い出し照らし合わせる

「東卍を乗っ取り成功したらヒナちゃんが振り向いてくれるって考えている?」

私は稀咲くんの行動を予測したがやっぱり意味が分からない、

「いや、それは不器用すぎだろ、それでどうすれば稀咲を止められるんだよ?」
松野くんが私に聞いてきた、

わからない、どうすれば一番良いのか……。そんなときタケミチくんが立ち上がり

「俺が稀咲と話を付ける、ヒナを絶対守る!」

この人なら稀咲くんを変えてくれるかもしれない!

「おう!頼むぜタケミチ!」

松野くんが花垣くんの背中をたたく、これでこの一件が終わればいいなと思った。
あれから数日経った、どうやら稀咲くんと花垣くんとヒナちゃんの三人で話し合いをしたらしい、結果は稀咲くんが折れたようだ、
東卍をやめるという事で話はまとまったみたい、これで良かったのか分からない、でもこれで場地くんが危ない目に合わなかったらそれで良いと思った。

さん、またお見舞い来てくれたんだ」
「はい、差し入れ」

私は果物カゴを渡す、羽宮くんの怪我はだいぶ治ったみたいでよかった

「松野くんも場地くんもまた集会みたいでね、私だけなんだけど」

「そっか、ありがとうな、いつも来てもらって、俺が眠ってた時も来てくれてたんだろ?嬉しかった」
羽宮くんが微笑む、その顔を見ると私も安心した。

「俺さ....さん達に会う前、芭流覇羅に場地を誘って入れるつもりだったのに断られたんだ」
「うん、その話場地くんから聞いたよ」

「つーかさ、場地に諭されたんだ、お前、将来やりたいこととかあるのか?って...急に真面目かよって思った」
「場地くんが将来の話をしたの...?それ私が前に場地くんに言ったことかもしれない」

私はあの日のことを思い出していた、
場地くんが将来をより良くイメージできるようになれば何か変わるかもしれないって咄嗟に言ったあの話を彼は受け止めてくれてたんだ、どうしよう、凄く嬉しい

さんのおかげだったんだな、場地に言われたときはめちゃくちゃ腹がたったけどさ、あんな事があって何を今更って、でも…場地にも俺にも未来があるんだな、それを大事にしていきたい」

羽宮くんは本当に変わった、きっともう大丈夫だ、未来は明るいものになる、そう思えた、羽宮くんの病室を後にする、

…私、今すごく場地くんに会いたいって思ってる、気持ちを伝えたい……ああ駄目だ、こんな事考えるなんて恥ずかしい、

そう思い病院を出たところで私は誰かに腕を引っ張られた、

「だ誰ですか!?離してください!」

「お前、だよな?」

無理やり腕を引っ張られた、

「ちょっと待ってください、なんなんですか一体!」
「いいから黙ってついてこい」

私は怖くなり抵抗するが力が強くて敵わない、

「....稀咲がお前と話がしてえんだと」

稀咲くんが私を呼んでいる、なぜだろう?

「えっと……」「稀咲が呼んでんだよ、早くしろ」

そう言って私を軽々と持ち上げ、バイクに乗せられた、そしてそのままどこかに連れていかれる、連れていかれた先は倉庫だった、そこには稀咲くんがいた、

「久しぶりだな、さん」
「稀咲くん、私の事覚えてたんだ」
「やたら人の表情読むやつだったからな、忘れねえよ」
「私は稀咲くんのこと全然わかんなかったけどね……」
「お前だろ?俺の計画を壊した奴は」
「計画?それって東卍を乗っ取り成功したらヒナちゃんが振り向いてくれるって考えている事?」
「ああそうだ、俺はそのために動いてきたんだ、なのにお前のせいで台無しだ」

稀咲くんがイラついているのがわかる、考えは当たっていたんだ、しかし馬鹿馬鹿しい計画だ

「正面から好きですってヒナちゃんに言えばよかったじゃん」
「うるせえな、そんな簡単なことじゃねえんだよ、俺の計画は完璧だったはずなんだ…なのに花垣と橘が二人で一緒に俺の前に現れてさあ、俺に橘を諦めろだとか、タケミチくんしか好きになれないだとか言いやがる…俺がどれだけ惨めな思いをしたか、お前分からないだろ」

稀咲くんが辛そうだ、あの時私が花垣くんたちに言ったのは間違いだったのだろうか?

「ごめんなさい」
「謝って済む問題じゃない、俺の計画では羽宮一虎を利用して場地を潰す予定だった」
「……」
「場地は芭流覇羅に来なかったし、羽宮は勝手に裏切ってくれた、その後羽宮に誰の入れ知恵だって吐かせようとしたがあいつは殴られても殴られても何も言わなかった」

羽宮くん、私の事を伏せていてくれたのか、

「それで稀咲くんは私がその原因だと突き止めた」
「ああ、俺は最初お前を見逃してやろうとしたのに俺が橘を必要としていたこともお前は暴いてきやがって」

その時の事を思い出すとまた悔しさが蘇ってくるのか稀咲くんの顔が歪む、

「別に稀咲くんの恋路を邪魔したかった訳じゃない、稀咲くんは自分に自信がないだけでしょう?」

花垣くんに負けていることを認めれないんだ、稀咲くん

「……俺はずっと自分が優れていると思っていた、なのに、俺は花垣みたいになれない」
「稀咲くんはすごいよ色んな計画立ててさ、でもそれ稀咲くんのしたいことなの?今、花垣くんみたいになれないって言ったよね?稀咲くんはもっと花垣くんを知っていきなよ、なんか勘違いしてるよ」
「はあ?ごちゃごちゃと小賢しい女だな、お前を消せば全て解決するんだ」
「稀咲くん、無茶苦茶だよ!!」

私はなんとか逃げようとするが体が動かない

「お前が消えれば全てがうまくいくんだよ」

そう言って私を殴った

「..う゛っ……」

痛い、口の中で血の味が広がる、そしてナイフを取り出し私に向けてきた、うそでしょ!?殺されるのか私……

そう思った瞬間誰かが稀咲くんを突き飛ばした

「大丈夫か!?さん!」
「羽宮くん!?なんで、まだ怪我治ってないのに」
「病院の人が女の子が無理やり連れ去られる所を見たって言ったんだ」

そういって羽宮くんは私を庇ってくれた、助かった、けど

「一虎ぁ俺を忘れたのか~?」

そういって男が羽宮くんに殴りかかる、

「半間...」

こいつ半間修二だったのか名前しか知らないけど相当強いって聞いた、
羽宮くんはまだ怪我も治ってないのに...羽宮くんが苦戦している、どうにかする方法はないのか?
……すると突然誰かが半間の頭を思いっきり殴った、

「誰だてめぇ!」

「え?場地くん!?なんでここにいるの?」
下がっとけ」

場地くんが助けに来てくれた

「そりゃあ、俺が連絡なしにここには来ないだろ?」

羽宮くんがにやりと笑い答える、

「場地ぃ、お前と一回やってみたかったんだよなあ」

場地くんと半間が殴り合う、私は羽宮くんの側に寄って様子をうかがう、....この状況もしかするとやばいのでは?稀咲くんが何かをしでかしそうだ、
怖いな、いや、怖いなんて考えてる場合じゃない、動いてくれ私の体、

場地くんが半間を地面に叩きつけた、半間が動けなくなっている間がチャンスだ、私は必死に走った、稀咲くんが場地くんを目掛けてナイフを刺そうとしているのが見えた、私はカバンの中にあった催涙スプレーを目いっぱい彼にかけた、「があああ」と叫びながら彼は体勢を崩す、催涙スプレーやるじゃん、私はすぐに彼のナイフを奪う、そしてそのナイフを遠くに投げ捨てた、

「クソが、お前から場地を奪ってやると思ったのに」

稀咲くんがキレている、今までにない憎悪に満ちた目を向けられ震える、するとそこに花垣くんが来た

「……稀咲、お前の相手は俺だろ?間違えんなよ!!!」
「花垣....」

稀咲くんが焦っている、どうやら花垣くんは本気だ、

「来いよ、稀咲、相手してやる」

そう言って二人は殴り合う、

「タケミチ連れてきたぞ!ちゃん、大丈夫か?」

あっ松野くんだ

「うん、平気だよ、ありがとう」
「んな訳あるか、血いでてんぞ、

振り向くと場地くんが私の手を取ってくれていた、半間に勝ったんだ

「大丈夫、っていうか場地くんの方がボロボロだよ」
「俺はいいんだよ」

「稀咲、もう終わりにしようぜ」
花垣くんの声に稀咲くんは
「ああ、」

二人とも倒れてしまった、警察のサイレンの音も聞こえてくる、終わったんだ、やっとこの争いが終わったんだ、そう思うと力が抜けてその場にへたり込んでしまった、

、病院行くぞ、立てるか?」

場地くんこそボロボロなのに私を心配してくれている、

「大丈夫、歩けるから」

と言って立ち上がろうとするが足がガクガクして立てない

「ほら、おんぶしてやる」
「え?無理だよ!恥ずかしいし」
「うるせえ、さっさとしろ」
「あ、はい」

私は場地くんにおんぶをされた、私より広い背中でとても安心できた、

「ところで羽宮くんは?」
「あいつなら千冬が面倒見てる」
「っていうか重くない?ごめんね」
「こんなん余裕だわ」
「...つよがり」
「うるせえ」

私たちはその後羽宮くん達と救急車に乗り病院で処置を受けた、

「場地くん怪我の具合は....ってそりゃあそうだよね」

腕にはギブスがつけられていて痛々しい。

「これでも軽傷なんだぜ、大げさにするなって先生が言ってた」
「そうなんだ」
「それよりお前だって怪我してるじゃねえか、顔にだってアザがあるし、他に痛いところないか?」

私が殴られたところを場地くんがそっと触れる。

「ちょっと右足捻挫したみたいだけど平気かな」
「嘘つけ、辛そうな顔してんぞ」

場地くんは私の強がりを見抜いた。

「……私がね、稀咲くんの気持ちを暴いてタケミチくん達に話をしてしまったせいで、彼を逆上させてしまった」

良かれと思ってやったことだったけど稀咲くんの心を痛めつけてしまった、だから彼は無計画に私を呼び出し無茶苦茶なことをした。

「お前は悪くねえよ、俺が悪い、お前を巻き込んだんだから」

場地くんが優しく言ってくれる、その言葉に涙が出てくる、

「泣くんじゃねえよ」

場地くんが抱きしめてくれた、私は場地くんの胸に顔をうずめ泣いた、怖かったし、申し訳なかった。

「お前が連れ去られたって聞いたとき、心臓止まるかと思ったんだからな」
「ごめんなさい」
「謝るなよ、自惚れかもしれねえけど俺の為なんだろ?」
「…信じてくれないだろうけど...未来が見える時があるの、それで、場地くんに会ったときに場地くんが死んじゃう未来を見ちゃったの……ずっと私はそれが怖かった」

私は場地くんの腕の中で吐露した、彼は何も言わずに聞いてくれた

「それで、場地くんを知っていくたび、失いたくない気持ちが増して、こんなに人を好きになったの初めてだった」

彼の胸をそっと押して離れた、

「……お前、それどういう意味かわかってるか?」

場地くんが真剣な表情をしている、私はそれに答えるように頷いた。

「俺は、真一郎くんを殺した、そんな人間なんだ、なのには俺の事をいつも助けようとしてくれた、俺は俺の事を一生許せねえのに」

最初に会ってから場地くんをずっと見てきたが、確かに喧嘩は強いし、口も悪いし、見た目も怖そうなんて思われるけど、本当は普通の男の子だ、誰よりも仲間思いだし優しい人だと知っている、だからこそ、彼が自分を責めている姿を見るのはとても辛かった。


「それでも、私は場地くんを守りたいと思うんだよ、たとえ場地くんの罪が消えなくても、あなたを一人にしたくない」


この人はきっと自分が死ぬ時まで後悔し続けるだろう


「....俺は、と話す度に自分の将来とかを馬鹿みたいに夢見ちまうんだ、お前と生きていたいって思っちまう」
「....私と?」
「ああ、これからお前と生きていきたい、俺はが好きだ」

場地くんがまっすぐ目を見て言ってくる、私はもう泣き崩れることしかできなかった

「私も、場地くんが好き、大好き」

***

「ん、もう朝か」
私は学校へ行く支度をする。

あれから一か月近く経った、芭流覇羅は先導するものがいなくなり自然消滅し稀咲くんは警察に捕まり少年院に入ったらしい、いつもは用意周到な稀咲くんだったがあの時は証拠に残るようなことをたくさんした、そしてなにより自分の手の内を警察に話したらしい、花垣くんと殴り合いをして何か思う所でもあったのだろうか?私には分からないが、彼なりに決着をつけることが出来たようだ。

「じゃあ行ってきます」
「待って、これ」

母親から渡されたのはうちの喫茶店のハロウィン限定のクッキーだった。

「ああ、今日ハロウィンだもんね」
「謝ってきたあんたの彼氏にも渡しなさい」
「...ありがとう」

私はというと、警察の事情聴取や場地くんが私の両親に謝ったりして来たりとバタバタしたが今は普通の学生生活をしている。

「おはよう」
「おう」

登校中の場地くんに会えた

「はい、クッキーあげる」
「ん、ありがとな、俺何も持ってねえけど」
「別に場地くんからお菓子とか期待してないよ」

私は笑って言う、

私たちの関係は一応恋人らしい、だけど別に何かが変わったわけではない
、変わらないことにホッとしている自分と少し残念に思ってる自分もいる。

「ハロウィンだし今日うち来ない?一虎くんもいるよ!」
「あーでもお前の親、俺がいるの嫌じゃねえのか?」
「場地くん、もしかしてまだ俺が娘さんを傷物にして申し訳ない!とか思ってるの?」
「そりゃそうだろ」
「大丈夫だよ、場地くんの事気に入ってるし、お父さんお母さんも喜ぶよ」
「まじかよ」

まじだ、うちの親は場地くんの勢いのある謝り方を見て感動している、場地くんとの馴れ初めまで聞いてくる始末だ。

「一虎くんもいるんだから場地くんが遠慮する必要どこにもないよ」
「おう、......ってかさっきから一虎くんっていつから名前呼びになったんだよ」
「え、確かにうちの両親が一虎くんって呼んでるからそれに釣られて...でも一虎くんも私の事って呼んでるよ!」
「あ~俺、お前に気ィ使ってんのマジで馬鹿だったわ」

場地くんがため息を吐く、

「えどういうこと?」
「千冬が言ってたんだよお前は誰かと付き合ってるとか噂されるのが嫌いだって」
「ああ、私が小学校の時千冬って呼んでたら学校で付き合ってるのか?って噂されて松野くんって呼ぶようになった話か」
「そーだよ、俺はお前が嫌がることはしたくないからな」

それは私と千冬が友達みたいな関係性だったから誤解されるような噂されたくなかっただけだ

「嫌じゃないよ、だって本当に恋人なんでしょ?私と場地くんは」
「....じゃあって俺も呼ぶから」

場地くんがそっぽを向きながら言う、耳が赤くなっているのが見える

「うん、じゃあ圭介って私も呼ぶね」
「お、おう」

私たちは二人して顔が真っ赤になる
圭介が私の手を取る、その瞬間私は圭介の大人になった姿が見えたような気がした

「ん?、お前また未来でも見えたのか?」

未来視の事を圭介は信じてくれていたみたいだ

「違うよ、ただ、何となくだけど幸せになれそうな予感がするの」

この人とならきっとこれから先どんな困難があっても乗り越えられるはずだ。

「ほら早く学校行こ」

私は圭介の手を強く握り返した。
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