おしゃべりなあの子と出会った話

と出会ったときの話(場地視点)

最近俺の後を楽しそうについてくるようになった奴がいる、面倒くさいがいい奴だ、

「場地さん!」

松野千冬は図書室で待っていた、この学校の図書室は二つあって勉強するような奴は第一そうじゃない奴は第二に分けられていた、つまり第二にいる人間は軽くだべったり余程の本好きしかいない穴場だった、今日は特に人が少なく図書委員をしている女と俺を待っていた千冬しかいなかった。

「松野君の言ってた尊敬できる場地さん?」
「おう!場地さんまじですげえから!」
「お前何俺の話してるんだよ」

若干あきれながらも千冬が女子と楽しそうに会話してるのは初めて見た

「こいつ俺の小学校の時からの知り合いっす今も同じクラスで」
「初めまして、って言います!」

そういってお辞儀をしてきた、顔立ちは目立たないが結構整った顔をしているなと感じた、

「おうよろしく」

俺はあんまり女子と会話をするのはめんどくせぇというか好きになれない、だからこういう時もぶっきらぼうになる。

「松野君がここを待ち合わせの暇潰しにしてくれたおかげで私も会話する相手がいて楽しいんですよねー」

真面目なのか不真面目なのか分からない食えねえやつ、なんて思った

「そういや前借りてた本返すわ」

すっかり返却期限切れになった図鑑を返そうとに渡した、

「へえ動物図鑑!動物好きなんですか?」
「まあな」

そういって返すとき若干手が触れた瞬間に妙に胸がざわついた、ガタンッと椅子の転げた音がしたと思ったらは急に立ち上がって呆然としていた、

「おいどうしたよ」
「えっと、ちょっと保健室行ってきます」

そういうとそそくさと本の整理を済ますと図書室を出て行ってしまった。

千冬が「あいつ大丈夫かな?なんか顔色悪かったけど」

俺は心配になって立ち上がった
廊下を走るを追いかけ

「おい、?大丈夫か?」

腕をとっさに掴むと振り返ったは目に涙をため

「場地くん……大丈夫だから」

そう言ってふらふらと保健室に行った、
俺はあの表情がなかなか頭から離れなかった。
次の日俺は昼休みに一人で図書室に行く

いるかー?」
「場地くん??」
「いや、昨日体調悪そうだったから気になって」
「えー気にしなくて良いのに、この通り健康だよー」

昨日の事なんて無かったかのようにへらっと笑っていた
俺はなんだかそれが気に食わなくての受付カウンターの前に座った

「場地君?どうしたの?」
「あぁ?千冬じゃなくて俺がお前の話し相手じゃ不服かよ」

あまりの自分の不器用な話かけ方に恥ずかしくなった
するとは目を丸くして

「場地くん私とお話ししてくれるの?」

と満面の笑みを見せてきた、なんだかそれが嬉しかった

「場地君のことは松野君からよく聞いてるよー喧嘩が強いとか、東卍って暴走族に入ってるとか」
「あいつそんなところまで話してるのかよ」
「あと頭悪くて留年してることも!」
「あいつマジぶっ飛ばす」

そんな話をしているうちに昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った、

「ありがとうね場地君、楽しかったからまた話そうね」
「ああ」

そういって図書室を出た。それから毎日のように放課後図書室に行った、いつも先に千冬がいてと話していた

「だからね松野くん、この時場地くんがなぜこの行動をとったかというとね」

と俺の行動について解説していてそれを熱心に聞く千冬がいた

「なるほどだから場地さんはあの時授業をさぼって保健室に行って居眠りしていたと」

「そう、きっと場地くんは本能に忠実なタイプなのかもしれないね」

俺のいないところで俺の詳しい分析をはしていた、正直しょうもねえ話と思ったが千冬やの楽しそうな顔を見るのは悪い気分ではなかった。

「おい、千冬ぅ何俺の事話してんだよ」
「場地さんすいません!」
「場地君ごめんね!私ついつい興味のある人についてたくさん考えちゃうというか」
そう申し訳なさそうには言う、

「俺に興味あるのか?」

そう尋ねるとこくりと頷いた

その日からだったか放課後待ち合わせに図書室に向かうのは変わらなかったがそこにがいるようになった、相変わらず図書委員の時の仕事は真面目にこなしている、そこには千冬がいて俺が来ることを待ってくれていた

この日常にも慣れてきたが俺はこのと一緒にいていいような奴じゃねえとも思うようになった、
何故ならあいつは女で俺は不良で、あの時の罪を一虎と分け合っていたからだ、
それでも彼女のそばにいるのが心地よかった。
そんなある日、千冬が俺のところにきた

「最近ちゃんと仲良いみたいっすね」
「まあな」
「あの……お願いがあるんすけど」
「なんだ?」
「俺とあいつってあんまり仲のいい奴少なかったんすよ、あっ別にちゃん、いじめられてたわけじゃねえんスけど寧ろ世渡り上手なぐらいで」
「ああ、お前ら一匹狼同士みたいなもんか」

二人が少し仲の良い理由が分かった

「場地さんはびっくりするかもしれないんスけどちゃんって結構人間関係に関してドライってか冷たいぐらいなんすよ」
「はあ?あいつすげえおしゃべりでそんな風に見えねえ」

千冬は話を続けると

ちゃん昔から誰とでもある程度仲良くはするけど深入りはしてこないしさせないんス気づいてるやつも少ないとおもうけど、俺はそれが逆に話しやすかったんですけどね」

なんかあいつの独特の雰囲気からか納得できた

「でも場地さんには珍しいくらい懐いてるんすよねえ」
「えっそうなのか?」
「はい、あいつ場地さん早く来ないかなあとか、何を考えているんだろう?とか好きなものとかを聞いたり考えたりしているんス!」

それを聞いてなぜか胸の奥がきゅっと締め付けられた

「で、場地さんには俺ちゃんとずっと仲良くしてほしいって思ってるんス!」
「お前……」

そんなことを言われるとは思わなかった

「別に恋人になってほしいとか贅沢は言いませんから!!」
「わかったよ、あいつとこれからも仲良くしてやるよ」

それから俺たち三人の関係は続いた、図書室に行き放課後はたまに二人で話したりたりもした。

「お前は俺と話していて楽しそうだけど俺のどこがいいんだ?」

そうに問いかける

「うーん場地君って友人とか大事な人のために命を差し出せちゃうひとだよね」
「んな事ねえよ」

それは図星だった、確かにそうだ、もし一虎やマイキー達が危ない目にあったとき自分を犠牲にしてでも助けるだろうな

「私はそんな場地君をすごいとも思うしなんだろう、どうにかしたくなるっていうか...」

が自身の手を合わせながら顔に持っていくしぐさをしていた、なにかぐるぐる考えていそうだ

「どうせお前のことだから俺を助けたいとかそんなこと考えてるんじゃねーの」
「そう、そうなの!」

あいつはそんなことを言い切りやがった、あまりにあっさり言うもんだから笑いそうになった。
はやたらと俺を見透かしてくる、なのに心地よく感じる。

俺は一虎の事を思い出し心がひんやりとする時がある、あいつは今頃どうしてるのだろうと、俺がのうのうと暮らしている事をどう思っているんだろうとか、そう考えるたびに心臓が痛くなった。
俺が難しい顔をしていたせいか

「大丈夫だよ、場地くん」

そう言って俺の手を握ってくれた

「っ何も知らねーくせにホイホイと男にそんなことするもんじゃねえよ」
「場地くんだからだよ」

あいつは真剣な目で訴えてきた。

「勝手にしろ」

俺はのことを受け入れることも突き放すこともできなかった、千冬もも俺の人生にとってわずかな時間に貰ったかも宝物かもなと柄にもなく感傷に浸った、

一虎が出所するまでもうすぐだ、きっと俺は自身の罪を償うために命を投げうる覚悟をする時が来るかもしれない。
ただ今はこの時間をまだ楽しませてくれとわがままにも思った。
←2話に戻る 目次   4話に進む→